マインドフルネスの歴史や、理解をより深めるにはどのような手段があるのでしょうか。- マインドフルネスのクラスに通う?- すずの木クリニックに行く?- 資格試験を受ける?「とりあえず試してみる」のも手かとは思います。ちまたにいろいろあり遠回りしそうなので、近道のヒントを教えてください。
ご質問頂きありがとうございます。
「マインドフルネスの理解」というと、
「マインドフルネス」にもいろいろな捉え方がありますし
「理解」にもいろいろな次元(レベル)があるので
何のために、どんな理解をしたいのか、という点が重要かなと思うので、
一概には言えないのですが…。
私の分かる範囲で、お答えしますね。
私の専門的立場からは、まず「マインドフルネス」を
現代の科学(心理学的)の枠組みで医療や人々のQOLの向上を目的としたものとして捉えます。
さらに、あくまで自分の知的好奇心を満たすために理解したい、ということでしたら、
一番勉強になって、信頼性もしっかりしているのは論文かな、と思います。
日本は残念ながらあまり進んでいるとは言えないので、英語の論文になってしまいますが
マインドフルネスストレス逓減法(MBSR)やマインドフルネス認知療法(MBCT)を
作り出した先生方のチームの論文は、検索をかけるとオープンアクセスの物もいくつかありますので
もしも、英語にそれほど苦手意識が無ければ、チャレンジしてみるのはいいかな、と思います。
しかし、難易度高めではありますので、次にお勧めなのは、書籍になります。
これはグループでは毎回8回目に参考書籍のリストを配布していますので
もしよければ参考にしてみて下さい。
書籍もたくさん出版されていますので、作者がどの先生なのか、
誰を対象とした本なのか(患者さん向けか、専門家向けか、一般の方向けか)を中心に
自分の目的に合ったものをまずは目を通してみることをお勧めします。
何冊もたくさん読むよりは、2~3冊を何度も読んでみる方が勉強になるように思います。
支援者として、瞑想の先生をおやりになりたい、ということでしたら、
やはり、きちんと資格が取得できる機関で勉強なさることが一番かと思います。
(MBSRを作成したマサチューセッツ大学医学部には、支援者養成のためのプログラムも用意されています。
日本にはまだ輸入されていなくて残念なのですが…英語と時差の問題に耐えられる方は
オンラインの講座もいくつかあるようです。)
以上が、「知識的理解」を目指した場合のお勧めなのですが、
マインドフルネスグループ療法では、やはり「体験的・実践的理解」を重要視しています。
「頭で分かる」ことよりも「心と身体で分かる」ことの大切さこそを、
マインドフルネスは教えてくれるものだと思うからです。
頭で分かること(知識的理解)は、効率が良いようで、実は「分かったつもり」になってしまったり
実践や練習を伴わないで頭でっかちな自分(=Doingな自分)をますます育ててしまうこともあると思います。
何よりも、グループで練習した色々な瞑想を、皆さんの人生の中で生かして続けていったときに
「気づいたこと」が、偉い学者の先生が言うことや理論よりも何よりも
「マインドフルネスの理解」として価値のあるものだと思います。
近道をしようとしないで、日々の練習を大事にしていただきたいな、と思いました。